タレ目切開

タレ目手術は目を下側、外側へ拡大する手術です。
以下の6つの主要チェックポイントに応じて手術方法を決定します。


①目尻の位置をどう動かすか
②下瞼のカーブをどうするか
③睫毛の角度はどうか
④涙袋をどうするか
⑤治療すべきクマがあるか
⑥上瞼のカーブも含めて調整するか

①目尻の位置をどう動かすか
タレ目手術は目尻の位置の変更から始まります。目尻を外にどれくらい、下にどれくらい動かすか考えます。要するに目尻位置を座標に乗せて考え、x軸とy軸に分けて考えてどこへ移動させるかがタレ目手術の律速段階です。そのためには術前の正確な分析(目尻の位置は左右どちらが上にあるか、目の横幅は左右差どちらが大きいか、どれだけ外へ広げれば結膜が見えるかなどの術前の詳細な情報収集)が重要です。

目尻切開+目尻靭帯移動
目尻を切開し靭帯処理をして目尻の位置を変更する手術。
通常価格 35万円 モニター価格 28万円
リスク:左右差、後戻り、粘膜が見える、逆睫毛の悪化など

②下瞼のカーブをどうするか
①目尻の座標変更で新たな下瞼のカーブが形成されます。この時点で術前よりタレ目の印象に近づいているものの、さらにタレ目にするためには目尻だけでなく黒目〜目尻までの間のカーブの形を変更する必要があります。この手術がグラマラスラインです。グラマラスラインには様々な方法がありますが、大きく分けて①皮膚切除、②組織の短縮、③タッキングの3つの方法があります。このうち半永久的で自然に下げられる方法は原則②のみです。②は眼瞼下垂手術のミュラーイメージ(上下逆さまにしたもの)と言える手術です。②の手技は皮膚側からも結膜側からも可能であり、②だけでもある程度の変化は可能であるため、グラマラスラインは皮膚を切らずに行うことも可能です。

グラマラスライン結膜切開
皮膚を切らずに結膜側から組織短縮により下瞼の位置を下げる手術
通常価格30万円 モニター価格25万円

リスク:左右差、後戻り、逆睫毛の悪化、結膜浮腫、白目の充血、ドライアイの悪化など

しかし、結膜側から大きな変化を出した場合、余った皮膚が睫毛を内側へ押して逆さまつげとなったり、余った皮膚に白目が覆われて変化が分からなくなる可能性があるため、結膜切開は大きな変化を出すのには適しておりません。大きな変化を出す場合、組織の短縮により余った皮膚を切除する必要があるため皮膚切開が必要です。

グラマラスライン皮膚切開
皮膚側から切開し組織の短縮により下瞼の位置を下げる手術
通常価格30万円 モニター価格25万円
リスク:左右差、後戻り、下瞼の外反(粘膜が見える)、傷が目立つ、ドライアイの悪化、下睫毛が一部なくなるなど

ただし、皮膚側切開のみで組織の短縮を行う手技が少し難しく、結膜側も切開して行った方がより簡単なため、大きな変化を出す場合は皮膚側と結膜側の両側を切開する方法を第1選択として考えます。

グラマラスライン両側切開
皮膚側と結膜側両方を切開し組織の短縮により下瞼の位置を下げる手術。
通常価格40万円 モニター価格30万円
リスク:皮膚切開のリスク+結膜切開のリスク

皮膚を切開すると当然傷が目立ったり涙袋が減ってしまう、下睫毛が一部なくなるなどのリスクがあるため皮膚切開は必要がないなら回避したいところです。下睫毛が長い場合、ボリュームが多い場合は皮膚切開をしても傷が目立ちにくいですがそうでなければ傷ができるリスクは無視できません。あまり大きな変化を望まれていないが、結膜切開だと逆さ睫毛になるリスクが高い場合且つある程度下睫毛の量が多い場合には黒目の中心から目尻のみに皮膚切開を限定する半両側切開という方法もあります。

グラマラスライン半両側切開
皮膚側半分(黒目の中心から目尻まで)と結膜側を切開し組織の短縮により下瞼の位置を下げる手術。結膜切開と通常の両側切開の中間の性質を持つ。
通常価格 30万円 モニター価格 25万円
リスク:皮膚切開のリスク+結膜切開のリスク、結膜切開よりは逆さ睫毛になりにくいがそれでも大きな変化を出すと逆さ睫毛になるリスクがある

また、組織の短縮でなくタッキング(組織の縫縮)で下げることも可能です。これは埋没法のグラマラスラインです。後戻りしやすい、逆さ睫毛になりやすいなどのリスクがあるため基本的におすすめできないですが、「切開法を行ったものの左右差が気になる、しかし直近ではダウンタイムの確保ができないため再切開は難しい」場合などに応急処置として行うことが可能です。

グラマラスライン埋没法
切開せず糸で縫うことで下瞼の位置を下げる方法
通常価格15万円 モニター価格12万円
リスク:左右差、後戻り、逆睫毛の悪化など

ちなみに多くのクリニックで行われているグラマラスラインのほとんどが後戻りしている原因としては皮膚切開であれ結膜切開であれ手術原理にタッキングが混ざっているからです。皮膚を切ってタッキングに加えて皮膚をたくさんとって下瞼を下げる方法では一時的に大きな変化が出せますが、実質埋没法と変わりありません。それにも関わらずほとんどの美容クリニックがタッキングを混ぜたグラマラスラインを行っているのが現状です。私のグラマラスラインは組織の縫縮ではなく短縮で下げることがほとんど後戻りしない理由です。

③睫毛の角度はどうか
前述の通り目尻靭帯移動やグラマラスラインで下瞼の位置を下げると余った皮膚に押されて睫毛が内側を向くリスクがあります。皮膚切除を十分に行えばそのリスクは限りなく減らせますが、結膜切開で行う場合でも結膜側から睫毛を外反させる縫合をかけることで逆睫毛の増悪を予防することが可能です。これは私が独自に行なっている工夫となりますが、これまで経験した症例から逆睫毛を修正する程の効果はないものの予防効果は高いと思われます。

エタプリ式経結膜逆睫毛矯正
久門田医師が開発した結膜切開グラマラスラインの際に逆睫毛が増悪することを防ぐ処置。逆睫毛を修正するというよりは、逆睫毛の悪化に耐えるという意味で逆睫毛矯正というネーミングとしました。
通常価格15万円 モニター価格10万円
リスク:後戻り、施術を行ったとしても余った皮膚に押されて逆さ睫毛になるなど

一般的な逆さ睫毛を治す方法は皮膚切除法と中縫い法です。皮膚を多めに切除すると睫毛の角度は外を向きますがその分涙袋がなくなります。元々逆さ睫毛の場合、グラマラスラインで余った皮膚に加えて睫毛を外に向けるために必要な量の皮膚切除が必要となります。

逆睫毛修正皮膚切除法
皮膚切除により逆さ睫毛を改善する方法。軽度の逆さまつげであれば十分に治療可能ですが、大きな変化を出したい場合は以下に記載する中縫い法が必要です。
通常価格15万円 モニター価格10万円
リスク:後戻り、涙袋が減る、傷が目立つ、下瞼が外反する(粘膜が見える)など

皮膚切除できる量には限度があり、重度の逆さ睫毛の場合は皮膚切除のみでは改善が難しいです。その場合、眼輪筋と瞼板を縫合することで睫毛を外側へ向ける中縫い法が必要となります。中縫い法は瞼板固定する二重全切開と手技が類似します。言い換えると不自然に食い込まれた二重切開と同じように、食い込みが目立ってしまいます。要するに傷が目立ちやすいということです。時間経過とともに傷は目立ちにくくなるものの限界はあります。

逆睫毛修正中縫い法
瞼板と眼輪筋を縫合することで睫毛の角度を外側へ向ける方法。大きな変化が可能なものの、傷が凹みやすいリスクがあります。
通常価格25万円 モニター価格20万円
リスク:後戻り、傷の食い込みが目立つ、中縫いの糸による炎症反応など

④涙袋をどうするか
グラマラスラインで皮膚切除を行う場合、涙袋は小さくなります。その後涙袋にヒアルロン酸をいれることも可能ですがそもそもの涙袋の形が変わっているため術前と同様の形にはなりません。また、切開したことによる瘢痕形成によりヒアルロン酸では綺麗に膨らまない可能性もあります。一度手術した部位に針を指す行為そのものが躊躇されるべきようにも思います。グラマラスラインを行う際に外科的に涙袋を作る方法があります。

涙袋形成眼輪筋折りたたみ縫合法
眼輪筋を折りたたんで涙袋の膨らみを再現する方法。
通常価格25万円 モニター価格20万円
リスク:想定するよりも大きい涙袋にならない、左右差など

エタプリ式涙袋形成
眼輪筋に加えて、グラマラスラインの余剰組織を用いて涙袋を形成する久門田医師オリジナルの涙袋形成。
通常価格35万円 モニター価格25万円
リスク:それでも思ったような大きさの涙袋にならない、左右差など

涙袋は皮膚のたるみ、眼輪筋の膨らみ、その下の靭帯の食い込みの3点から形成されます。すなわちグラマラスラインで皮膚を取り除くと皮膚の余りがなくなり、そもそも涙袋を作ることがむずかしくなります。そういった状況下でどんなに工夫をしても限界があります。また、靭帯の食い込みが浅い場合、涙袋を目立たせることは実質不可能に近いです。

涙袋の膨らみを再現する上でおそらく最も効果が高いのが側頭筋膜移植と思われます。数ヶ月の経過の中ではあまり吸収されていないため定着率はかなりよいと思われます。ただし頭部に傷ができることや、炎症による赤みが長引きやすいことが難点です。

涙袋形成側頭筋膜移植法
側頭筋膜を採取し下瞼へ移植することで涙袋の膨らみを再現する方法。
通常価格45万円 モニター価格35万円
リスク:定着率が悪い、炎症による赤み、感染、頭部に傷ができるなど

⑤治療すべきクマがあるか
タレ目形成を行う際に、治療すべきクマがあるなら同時治療すべきです。今後クマ治療を行いたくなった際、下瞼を再切開すると下瞼のダメージが増えて組織が破壊されていくことや、場合によってはタレ目の状態が変わりうるためグラマラスラインの再手術が必要となる可能性もあります。タレ目手術を行う際にクマの膨らみが目立つ場合、今後クマ取りをする可能性が少しでもある場合、クマ治療は必ず同時に行いましょう。タレ目と複合して行うクマ取りはよほど軽度でない限りは脱脂ではなく裏ハムラで行うことを推奨します。理由としては脱脂は再発しやすいからです。タレ目切開を行う年代のほとんどは若年層(10代または20代)です。通常この年代のクマは軽度であることが多く裏ハムラが必要なケースは少ないです。ただクマが出る原因は眼窩脂肪を覆っている膜が弛んでいるからです。脱脂をしても膜のたるみは改善しないため数年後にはまたクマが出てくるでしょう。再度クマが出てきた場合、再切開するならグラマラスの状態が変わりうるためなるべく再切開は避けたいです。クマの根本的治療は脱脂ではなくハムラ法であり、弛んだ膜に再度ハリを与える隔膜タイトニングにあると考えます。下瞼の切開回数はなるべく最小限とすべきであるため、グラマラスラインと併用するクマ治療は、一般的なクマ治療の場合と比較して裏ハムラの適応を拡大すべきと考えております。なぜ、グラマラスラインで皮膚を切開するにも関わらず表ハムラでなく裏ハムラなのでしょうか。それは眼輪筋をなるべく温存すべきと考えているからです。眼輪筋を切開すれば眼輪筋麻痺でしばらくタレ目になりますしそのメカニズムでタレ目にしているクリニックもありますが、後戻りするのであまり意味がない上しばらく表情がぎこちなくなるため、不要な眼輪筋切開は避けるべきです。ただ表ハムラで可能な手技を敢えて難しい裏ハムラで行わないといけない上、グラマラスラインを行う年代の方やツリ目の方は瞼が硬く伸展性が低いため裏ハムラの手術難易度は高いです。

下眼瞼脱脂術
下瞼の眼窩脂肪を切除することでクマの膨らみを改善する方法。
通常価格20万円 モニター価格15万円

裏ハムラ
下瞼の眼窩脂肪を下方へ移動することでクマの膨らみを改善する方法。脱脂より再発率が低い、膨らみだけでなくその下の靭帯の凹みも改善できる、クマが出る原因である眼窩隔膜の緩みも同時治療できる。
通常価格45万円 モニター価格40万円

⑥上瞼のカーブも含めて調整するか
①〜⑤は下瞼を切開し、下瞼を下げて目を大きく分けてして印象を柔らかくする手術です。主にタレ目にする手術となります。ただ、それだけでは十分とは言えません。瞼には下瞼と上瞼があります。下瞼がタレ目のカーブとなっても、上瞼がツリ目のカーブであればかわいい目とは言いにくいです。上瞼をツリ目のカーブからタレ目のカーブに変更するためには黒目の中心より内側に目の開きのピークを持ってくる必要があります。開きのピークの位置を変える手術は眼瞼下垂手術です。すなわち眼瞼下垂手術で目の開きを調整することで上瞼をタレ目の形にすることが可能です。また、グラマラスラインの目的である目を大きくすることは眼瞼下垂手術でも叶えることができます。グラマラスラインと眼瞼下垂手術はとても相性がよい治療です。まず初めに手術原理がとても似ている(前述の通りグラマラスラインと眼瞼下垂手術はミラーイメージの関係にある)こと、お互い目的が類似していること(目を大きくする)、そしてお互いが欠点を補っているということです。グラマラスラインを行うと悪く言えば眠たそうな印象になりますが、こちらは眼瞼下垂手術で目の開きを良くすれば改善可能です。眼瞼下垂手術を行えば眼球の前下方移動が生じ下瞼が上がって見えることが多いですが、こちらはグラマラスラインで改善可能です。また眼瞼下垂で眼球の前下方移動が生じた状態からグラマラスラインを行った方が下三白眼になりにくく、安心して大きな変化を出すことが可能です。これらの理由からグラマラスラインをご検討中の患者様の多くに眼瞼下垂手術が適応となると考えます。

全切開+眼瞼下垂修正(タレ目風二重形成・開瞼ピーク内側シフト)
目の開きを調整し、黒目の中心よりやや内側に目の開きのピークを持ってくることでタレ目風の二重をつくる方法。グラマラスラインの効果を強調したり、弱点を補うことができるため組み合わせることで相乗効果が期待できる。
通常価格60万円 モニター価格45万円
リスク:左右差、二重ラインの乱れ・薄れ、ドライアイの悪化、閉瞼不全など

以上より、究極のタレ目形成とは目尻靭帯移動、グラマラスライン両側、涙袋形成、逆睫毛修正、裏ハムラ、眼瞼下垂手術のうち適応があるものを選んで行う手術と考えます。ん