若返り二重切開とは

二重整形と一口に言っても、年代に応じて必要な工夫が異なるため注意が必要です。特に40代以降の若返り目的で二重整形を行う場合、若年齢(10-20代)の患者様と比べて治療の選択肢が変わります。

経年と共に、皮膚のたるみや目の開きの低下が目立ってきます。そうなるとまず、二重埋没法では綺麗になりにくく切開治療をベースに考える必要があります。(当院では埋没法のモニター審査に年齢制限を設けているのはこのためです。)

皮膚のたるみを取り除くためには全切開アプローチまたは眉下切開アプローチの2通りの経路があります。これは以下のように使い分けます。

眉下切開アプローチによる皮膚切除 
メリット 
・瞼の皮膚は眉毛側の方が厚く、睫毛側の方が薄い→眉毛側の厚い皮膚を取り除くことができる
・後に二重切開を行う場合の皮膚切除量を減らせる→仕上がりのばらつきが小さくなる

デメリット
・眉毛の下(目立つ場所)に傷が残ってしまう
・綺麗な二重にするために手術回数が2回になる場合がほとんど(まず眉毛切開→腫れが引いてから二重切開)

全切開アプローチによる皮膚切除
メリット
・目を開けていれば傷はほぼ分からない

デメリット
・眉下切開を併用する場合と比べて、全切開単独で行う場合必要な皮膚切除量が増える→仕上がりの予測が難しくなり左右差が出やすくなる、傷が段差になりやすい(厚い皮膚と薄い皮膚が合わさるため)

眉下切開を行うかどうかは、眉毛の形、濃さやアートメイクが入っているかどうか、ダウンタイムが2回確保できるかを参考に患者様と相談して決めます。

また、若返り目的の二重整形はほぼ全例眼瞼下垂修正とセットで行います。経年と共に目の開きが低下することは避けられず、一見目の開きがよい患者様も眉毛挙上(眉毛を上げておでこの筋肉に頼って目を開けている)により開きがよく見えているだけである場合がほとんどです。この眼瞼下垂修正という手術は美容外科だけでなく保険診療(形成外科や眼科)でも行うことが可能ですが目的が異なるので注意が必要です。

保険診療で行う眼瞼下垂手術
メリット
・目の開きの改善は期待できる
・料金は安い

デメリット(※あくまでも傾向です)
・適応が限られる
・基本的には狭い二重幅しか作らない
・奥二重になり睫毛の生え際が見えない怖い顔貌になりやすい
・瞼縁が角張った三角目になりやすい

美容目的の眼瞼下垂手術
メリット
・広い二重幅も対応可能
・ほぼ全員適応となりうる(希望すれば行うことができる)
・二重の形や瞼縁のカーブの形、開きの左右差まで限界まで調整しようとする

デメリット
・高額
・医師の技量、センスのばらつきが大きすぎる

上記はあくまでも傾向であり僕の主観も入っておりますが、参考にはなると思います。まず保険診療では目的が「目の開きが悪く支障が出ている患者様に対し、開きを改善することで支障を取り除くこと」になります。二重の形、瞼縁のカーブの形(丸い目、つり上がった目)などにはあまり焦点が当てられておりません。1日何人もの患者様を手術しているため、手術時間は短く30分程度と思います。二重幅は基本的に睫毛側から5-8mm程度の位置を切開した狭い二重ラインしか作りません。なぜなら、二重幅が狭いほうが目を開ける際の抵抗が小さく、開きが上がりやすいからです。二重幅が狭いにも関わらず目の開きが向上すると、一定年齢以上の患者様では皮膚のたるみが多いため、二重ラインの上に皮膚が被さり睫毛の生え際が完全な見えない奥二重となってしまいます。また眼瞼下垂手術を行うと目が開けやすくなることにより術前の眉毛挙上が改善し、術後眉毛の位置が下がることで、さらに奥二重になりやすくなります。また、保険診療の眼瞼下垂では基本的に1箇所のみの調整としている場合が多いです。年齢により瞼は脆くなってきますので1箇所のみで強く開きをあげた場合、角張った形の三角目となりやすいです。ある程度以上のご年齢の場合は、多点で調整しないと滑らかな瞼縁の形にはなりません。

では、美容外科で眼瞼下垂手術を行う場合はどうでしょうか。美容目的であるため二重幅は患者様のご希望に沿わないといけません。目の開きが上がりにくいからという理由で平行型希望の患者様を末広の狭い二重にする訳にもいきません。二重の形だけでなく瞼縁のカーブの形や開きの左右差も極限までご希望に沿う必要があるため、必然的に手術時間は長くなり1日何件も行える手術ではありません(当院では1日1件に限定しており、2件目を行う場合は追加枠料金をいただいております。)その分手術代金は高額となります。

このように保険診療と美容目的の眼瞼下垂手術では目的も異なり、求められる水準も大きく異なります。形成外科や眼科などでトレーニングを積んだ先生のほうが初めは手術操作になれているのはもちろんですが、それだけで綺麗な二重を作ることはできません。綺麗な二重をつくるためには、そのために費やしてきた時間、経験が物をいいます。二重切開法の経験だけでなく、何千もの二重埋没法を行ったり、何万もの額や眉間のボトックスを打ったり、様々な患者さんと接して綺麗な二重を作ろうとしてきた経験が、綺麗な二重瞼をつくる上で大変役に立ちます。

これは決して保険出身の先生を批判しているわけではなく、美容出身の先生を養護しているわけでもありません。一般的に形成外科出身の先生のほうが美容外科出身の先生よりも当たり前に手術技術の平均レベルは高いです。それでも美容外科出身の先生いい先生もたくさんいます。そして、バックグラウンドに関わらずいい外科医は自分が1番上手いと思って手術していますし、自分の提供するサービスに誇りをもっております。逆にそうでなければ患者様の立場からすると手術を受けたくないと思いますし、手術をする資格がないと思います。

それでも全例一発で上手くいくわけではないのが眼瞼下垂手術です。どんな名医が行っても10人に1人は再手術になると言われる、それだけ不確定要素が多い手術です。僕は患者様への説明の際、よく二重切開をカーリングに例えます。一発で的にいれるのはそもそもが大変難しい。一発で的になるべく近づけて、それより近づけたければもう一度トライする、納得いくまでトライする、ただしリトライする場合は絶対に前より的に近づけなければならない。そういった側面を持つ治療であると考えております。

納得いくまでトライするためには、忙しすぎて予約が取れない先生になってはいけません。十分ゆとりをもって手術時間を確保し、再手術を受け入れられるくらいの余裕を常にもたなければなりません。

そのため、当院の切開手術枠は原則1日1件で、価格帯はやや高額となっておりますがご容赦くださいませ。