【症例1】切開他院修正中等度+眼瞼下垂修正+ROOF切除
右の二重幅は広げたい、左の二重幅は僅かに狭くなってもいいから睫毛側のたるみをとりたいとのご希望でした。目頭の傷もかなり目立っていたため修正をご提案しましたが、そちらは特に気にならないとのことなので今回は介入しないことにしました。目頭は数ある目切開の中でも最も傷が目立ちやすい部位とも言えるため注意が必要な手術だと思います。
デザインは左はライン下方の皮膚切除とボリュームダウン、眼瞼下垂修正による開瞼向上により二重幅をやや狭くするような計画としました。一方右は左との二重幅の左右差がかなり大きかったため右はライン上方の皮膚切除では今の左右差を揃える程二重幅を広げきれないと判断し過去の切開線を含まず創が2本になるデザインとしました。
術後の経時変化をご覧ください。開瞼の左右差も二重幅の左右差も時間と共におよそ整ったと思います。注意すべきポイントとして、右の二重幅を広げて左をやや狭めたラインも合わせるとなると、右のラインの内側が少し蒙古襞と干渉するラインとなることです。現時点では腫れにより予定より二重幅が広くなっているため目頭で蒙古襞とぶつかりますが、腫れが引いて幅が狭くなると内側の幅が狭まりより内側まで綺麗にラインが出るようになる予定です。
【症例2】全切開+眼瞼下垂修正他院修正中等度+ROOF切除
以前より目の開きの悪さと左右差がお悩みであった患者様。他院で眼瞼下垂手術を受けられたものの目の開きも左右差も一切変わらなかったとのこと。前医にて変化がないことを相談したところ、眼瞼下垂手術には問題がなく食い込みの問題だから二重埋没法をすればよいと言われ、言われるがまま二重埋没法を受けられました。術後左側の額〜こめかみにかけて激しい頭痛が生じ、私の外来を受診されました。二重埋没法は多かれ少なかれ瞼の負担になります。目の開きが元々悪い方はさらに開きを落としてしまう可能性があります。そうなると目があけにくくおでこの筋肉に力が常に入るようになるので目が疲れたり、頭痛が生じるリスクがあります。そもそも目の開きの左右差は二重埋没法では絶対に改善しません。
さて今回の修正内容ですが、患者様はより幅広の平行型の二重をご希望されておりました。ここが難点なのですが、基本的に狭い二重幅の方が目は開けやすく、幅広にすると目が開けにくくなります。額の疲れの症状をとったり開きを改善するためにはなるべく幅を狭くしたいところですが、美容手術なのでご希望に応じて二重幅は広げることにしました。二重幅を広げると睫毛側の組織のあまりが出やすく少しハム目気味な仕上がりにはなるもののそれでも幅広を目指すか、平行と末広の間くらいで今と二重幅自体はあまり変わらないようにしてすっきりとした仕上がりにするか2通り提案しましたが、二重幅の広さを優先したいとのことでした。また瞼の厚みが少し目立っていたことや二重幅を広げたり開瞼を上げることによる眉毛下降により瞼は厚くなるため術後の厚みの増加に対し予防的ROOF切除を行いました。術中の所見は予想通り、前医の手術はこれでは変化が出るわけないよなといった感じでしたがそこはもうノーコメントで、、、
術3ヶ月後の状態をご覧ください。開瞼の左右差はおよそ改善しましたね(細かい話をすると少し左が開きすぎて左右差が逆転しています。)頭痛もなくなったとのことでよかったです。ある程度予定通りの仕上がりではありますが、もう少し内側睫毛の生え際をみせられること、開瞼の左右差(やや左が強く開いていること)から再切開をご提案し今後予定しております。
1年経過し、右の開瞼が低下してきたこと(ヘリングの法則)や、二重幅を少し欲張りすぎて余剰皮膚が睫毛の生え際を覆っていることから、再切開を行い開瞼の再調整と皮膚切除法による重瞼縮小とハム目修正を行いました。開瞼の左右差がより少なくなり、睫毛の生え際が全て見える機能的にも審美的にもよりよい二重瞼に仕上がったかと思います。
【症例3】全切開+眼瞼下垂修正他院修正超高難易度、目尻切開+目尻靭帯移動(タレ目→つり目ver)
他院で2回二重切開(うち1回は眼瞼下垂修正も)を受けられた患者様。目の開きの左右差を気にされておりました。術前は右目は内側の開きが弱く外側にかけて上がっていくつり目気味のカーブ、左目は内側の開きがよく外にかけて下がっていく丸いタレ目気味のカーブでした。どちらが好きかは好みなのですが、患者様は右目の方が好きでつり目気味な目になりたいとのことでした。
現在の状態からつり目ぽく見せるためには①特に左目の内側の開きを下げて(挙筋後転)、外側の開きを上げて、外側へかけて広がっていく目の開きへ変える、②内側の二重幅を下げて外へかけて広がる二重の形に変える、③目尻靱帯移動で目尻の位置を上げる、④眉下リフトで外側の皮膚を多めに切除する、⑤額こめかみリフトで外側の眉位置を上げる以上5つの選択肢を話し合い、まず①、②、④を行うことにしました。
デザインはこちらをご覧ください。上の切開線が前回の瘢痕、下の切開線が今回の切開線。眉毛側に剥離し現在の二重を消した上で下方で新たな二重を作り直す皮膚切除なしのデザイン。前回の二重の再癒着予防のため眼窩脂肪移動を行いました。過去の瘢痕は極力切除しハム目も修正しましたがやりすぎると二重幅が狭くなりすぎるため適度な範囲に留めます。全体的に少し二重幅が狭くなるので、理想より狭くなりすぎた場合は後から前額こめかみリフトで広げます。
術後の写真をご覧ください。目の開きが左右揃い、黒目の内側から外側にかけて開きがよくなるつり目気味のカーブになっていますね。新しい切開線で二重となり、前回の切開線での食い込みは消失しております。眼瞼下垂手術を応用すれば開きを上げる(挙筋前転)だけでなく下げること(挙筋後転)も自由自在です。
【症例4】全切開+眼瞼下垂修正他院修正中等度(挙筋後転含む)
他院で眼瞼下垂手術を受けられるもきつい顔つきになってしまったことがお悩みであった患者様。術前の状態を拝見するに保険診療で手術を受けられた場合に典型的な仕上がりとなっておりました。保険診療でこの手術を行う際、目の開きをあげて生活の不自由をなくすことが目的となるため審美的な観点には焦点が当てられないことがほとんどです。二重幅は狭い方が目が開きやすいため基本的に幅は狭めで末広型、目を開かせるだけなら1箇所のみの固定で十分ですが高齢で瞼が柔らかい症例に対し1点のみの固定を行うと角ばった仕上がりになりやすいです。さて今回顔つきが険しくみえてしまう原因としては①二重幅が狭いため奥二重となってしまう、②内側に対し外側の開きがあがることでつり目気味なカーブとなっている、主にはこの2点となります。手術内容としては全体的に二重幅を広げて内側から丸い二重にする、目の開きに関しては内側を挙筋前転、外側を挙筋後転することにより、瞼縁の形を内側が高く外が低いタレ目気味なアーチとしました。上記修正により柔らかい印象となりました。
【症例5】全切開+眼瞼下垂修正他院修正中等度+目頭切開リドレープ法+グラマラスライン他院修正(結膜切開)
高名な先生で二重切開・眼瞼下垂・タレ目手術を受けられておりましたが、もう少し内側から丸い二重にしたい、タレ目ももう少し下げたいとのことでした。
二重は目頭切開リドレープ法につなげるデザインとし眼瞼下垂は内側の開きを少しあげて、内側から丸い二重としました。目の上の窪みが少し目立ってきていたため眼窩脂肪を前方移動しくぼみ目修正を行いました。二重の食い込みがやや薄れてきていたため、食い込みの補強も行いました。グラマラスラインは結膜切開のみで皮膚に傷をつくらず、しっかり下げました。丸い可愛らしい目元になりましたね。
【症例6】全切開+眼瞼下垂修正他院修正軽度+ROOF切除
他院で眼瞼下垂手術を受けられるも理想の二重になれず、その後二重埋没を繰り返すもどうしても理想に近づけなかったとのこと。理想を伺うとアニメのキャラクターのような超幅広の平行二重になりたいとのこと。まず保険診療で眼瞼下垂手術を受けられておられましたが、目的が異なるので注意が必要です。保険目的で眼瞼下垂を行う場合、目の開きをよくすることが目的なので二重幅は必然的に狭くなります。二重幅が広くなればなるだけ目を開ける際の抵抗が上がるため、幅広二重にすると目が開けにくくなるからです。切開法で超幅広二重をつくる場合、眼瞼下垂修正なしの通常の全切開のみで行うと多くの場合目の開きが追いつかず二重を十分に食い込ませることができません。なので幅広二重切開に眼瞼下垂修正は必須技術です。一般的に二重切開で切っていいとされる推奨幅は睫毛側から8mmまでですが今回13mm幅で切開し極限の二重幅を目指しました。前回の切開線は無視して新たに切開線を置き、前回の二重は剥離して消しました。超幅広、でも開きもよく睫毛の生え際も見える美しい平行二重に仕上がりました。
【症例7】全切開+眼瞼下垂修正他院修正中等度
過去に2回二重切開、2回タレ目、目尻切開を受けられていた方。目の開きを上げたい、二重幅を最大限広げたい、外側を広く外にかけて広がるラインにしたい、下三白眼を治したい、目尻の位置を下げて左右差も整えたいとのことでした。
既に二重切開にしては幅広二重であり、眼瞼下垂手術を行うと二重幅が狭くなるかつ二重幅を広げるほど目の開きが上がりにくくなるため難易度が非常に高いです。眼瞼下垂修正を行うことによって眼球の前下方移動が生じ下三白眼が改善されることもありますが、狙って行うことは難しく、改善されれば運が良いくらいの期待値とはなります。
デザイン解説
元々左眉高位のため右を少しだけ高めにデザインします。左の方が皮膚の被さりが少し多いため、左側のみ皮膚切除しますが、それ以外は皮膚切除なしとし、ライン下方のボリュームを敢えて多めに残すことで少しハム目気味になる代わりに二重幅を最大限広くみせます。
青は今回の切開線、赤は前回の切開線、右は睫毛側から12.5mm、左は12mm、保険診療の切開法では禁忌とされるような一般的には高すぎる切開位置となります。
術5ヶ月後の写真をご覧ください。超幅広で切開しているため多少のハム目感は否めませんがそれでも大部分睫毛の生え際が見えております。超幅広二重になりましまね。下瞼は目尻切開靱帯移動のみでグラマラスは行っておりませんが、5ヶ月経過した時点でもしっかり下がっており、左右差も解消されております。希望変化によってはグラマラスなしの目尻靱帯移動のでもある程度の変化は可能となります。
【症例8】全切開+眼瞼下垂修正他院修正中等度
過去に2回二重切開、1回眼瞼下垂手術を受けられておりましたが経年と共に開瞼が低下してきたことがお悩みでした。開きのよい大きな目をご希望でしたので、ドライアイのリスクはあるものの、開瞼をしっかり向上させました。
【症例9】眉下切開+ROOF切除+全切開+眼瞼下垂修正他院修正軽度
他院で二重切開を受けられるも瞼が厚く二重が緩んでおりました。韓国型の狭い二重をご希望でした。まずは眉下切開とROOF切除で瞼の厚みを減量後、二重切開で食込みの深い二重を作成しました。
【症例10】全切開他院修正軽度+眼瞼下垂修正+目頭切開
過去に8回二重全切開、2回眼瞼下垂手術を受けられたとのことでした。ぱっちりした平行二重を希望していたのに何回やってもならなかったとのことでした。8回全切開、2回眼瞼下垂を受けられていると聞くと無条件で断るクリニックや、重度修正として高額を要求するクリニックも多いかもしれませんが、まずはよく診察すべきです。本症例では幾度のない全切開の既往にも関わらず閉瞼時傷が綺麗で凹みも全く目立っておりませんでした。これは内部操作がほとんどなされていない、組織がほとんど取られていないことを意味します。すなわち、全切開に慣れていない医師がやったフリの手術をしていたと、切る前から瞼を一目みるだけで分かります。なので軽度修正として対応させていただきました。9度目の正直、今度こそずっとなりたかった幅広平行型としました。まだ術後2週間なのでこれからさらに開瞼は向上しぱっちりした平行二重となるでしょう。
【症例11】全切開他院修正高難易度(前頭筋吊り上げの修正)+眼瞼下垂修正
二重切開他院修正高難易度の症例です。この何が高難易度か伝わりにくいでしょう。
こちら他院で眼瞼下垂手術(大腿筋膜による前頭筋吊り上げ)を受けられたとのこと。平行二重になりたいものの二重幅が狭い、取れかかっている。二重幅の左右差に加えて、目の開きの左右差も気になる。
一般的に二重幅を広げたり、食い込みを深くすることは二重修正の中では簡単な操作となり低難易度となります。何が高難易度にさせているかというと、前頭筋吊り上げです。こちら重度の眼瞼下垂に対して行われる治療法で、目の開きをおでこの筋肉の動きと連動させ、おでこの筋肉を使って目を開けるようにする手術です。目を開ける際におでこの筋肉が収縮し眉毛が上がってしまうため、二重ラインに被さる皮膚の量が少なく平行二重になるような広い幅で食い込みを作ることが極めて難しいです。また、開瞼の左右差調整のために、一度吊り上げ固定を外して挙筋前転による開瞼調整を行い、その後吊り上げ固定を繋ぎ直す作業が必要となります。正確に開瞼調整を行ったところで吊り上げ固定のため前頭筋の動きに開瞼が影響を受けることが手術を極めて難しくする要因です。
この厳しい条件を考慮すると経過良好で美しい平行二重に仕上がったかと思います。
【症例12】全切開他院修正軽度+眼瞼下垂修正+目頭切開
他院で二重全切開を受けられるもの緩んできた方。
切開法で食い込みの深い二重としました。
通常の全切開のみで二重が緩んでしまう方は目の開きが不十分である可能性があり眼瞼下垂手術を行った方がよりしっかり食い込ませられる場合が多いと思います。
【症例13】全切開他院修正+眼瞼下垂他院修正+真皮脂肪移植による窪み目修正
他院で二重切開、眼瞼下垂手術を過去に2回受けられた患者様。二重幅を広げたい、外側までしっかり食い込ませたい、目の開きの左右差を治したい、左が開きすぎているのが気になるとのこと。
奥目タイプで二重幅を広く見せるのはかなり難しいですが、短冊腱膜を用いて外側までしっかり腱膜を配置し食い込みの深い二重としました。
開瞼は右前転後、余剰腱膜を左へ移植しスペーサーとして後転しました。
術後腫れなのかヘリングの影響かで左の開瞼が低下しました。
1週間様子を見ましたが左の開瞼の向上が得られなかったため、左を早期再切開し開瞼を調整しました。
2週間後時点ではまだやや左の開瞼が弱いですが再切開による腫れの影響も考えられるためこの時点ではfairかと思います。
もしこの時点で左の開瞼が右を追い越していたら右を早期再切開する予定でした。
早期再切開は術後2週間以内でなければなかなか難しいため、眼瞼下垂術後の開瞼の判断は丁寧に行い、疑わしい所見があれば早めに修正を加えたほうが組織の負担は少ないです。
また上瞼の窪みは眼瞼下垂手術のみでは改善しきらないと判断し、真皮脂肪を移植しております。